雅文化学院
宋代には「闘茶・香を楽しむ・花を生ける・絵を掛ける」の四つが並び称され、中国の上流階級における優雅な生活の中で心を養い、情趣を楽しむ「四般の閑事(しかんのしごと)」とされていました。このうち前三つは、まさに日本人が「三雅道(さんがどう)」と呼ぶものです。
茶道は和を調え、花道は心を養い、香道は心を静める。そのため、歴代の文人や風雅な人々に深く尊ばれてきました。
茶道とは、茶の美しさ・趣きを味わう「道(みち)」です。茶道は、単なる茶を淹れ、飲む行為ではなく、「茶を通じた生活の芸術」であり、「茶を媒介とした生活の礼法」、「茶で自らを整える暮らしの流儀」とも言えます。
茶を淹れる・眺める・香りを嗅ぐ・味わうという一連の動作を通して、友情を深め、心を豊かにし、徳を磨き、礼儀を学び、伝統的な美徳を体得していく──。それは心と和を大切にする、非常に有意義な儀式なのです。
お茶を飲むことは心を鎮め、精神を落ち着かせ、情操を育て、雑念を払いのける助けとなります。禅の修行中にも、茶を通じてその教えを体得することがあり、「落葉を眺めて静かに過ごし、一杯の茶とともに座す」──そんな風情が大切にされます。
花道(かどう)は「華道(かどう)」または「日本式の生け花」とも呼ばれ、日本の伝統的な花の芸術です。これは「生きた植物素材」による造形の芸術であり、自然との対話とも言えるものです。
中国においても「插花(そうか)藝術」と呼ばれ、草木の枝葉や花を美しく切り取り、花器に芸術的に生ける技法と美意識を指します。
花を生けることを通じて自然や命の移ろいを感じ、美しい作品を創り、鑑賞する中で自らの審美眼を高めていく──。このように、精神を磨くことを目的とし、生け花を手段とする学びの生活様式を「花道」と言います。
日本の花道は、花が咲き、そして散っていくという自然な命の流れを表現するのに対し、西洋のフラワーアレンジメントはその瞬間の雰囲気を引き立てることを重視します。
香道(こうどう)は、視覚・触覚・嗅覚を用い、心をこめて高貴な香料を鑑賞し、深く感じ取る芸術です。わずかに演出の要素を含む所作の中に、大自然との融合があり、清らかでこの上ない静寂の美を味わいます。
香はただ芳香を楽しむものではなく、心と体を養い、穢れを祓い、病を癒し、神を整え、生命力を育むものとされています。
香道では、単に「鼻で嗅ぐ」のではなく、「心で香を聞く(聞香)」と言います。心を鎮め、香に全神経を集中させる──それが香道の真髄です。
中国香文化フォーラム・東京香芸研修拠点は、中国香文化と中国伝統文化の継承と普及に取り組んでいます。中国式の雅やかな暮らしを提唱し、伝統的な生活美学の体験・教育、また香席・茶会などの雅な集いの企画・運営を行っています。※この記事はインターネットより転載されたもので、著作権は原作者に帰属します。