雅文化学院
夏の暑さが長く続き、空気がむっとする日々。エアコンやスイカ、プールでのひとときももちろん魅力的ですが、もうひとつ、心と体を清めてくれる清涼があるのをご存じでしょうか。
それは一杯のお茶。
夏におすすめなのは、緑茶・烏龍茶・白茶。今回は、それぞれを代表するお茶をご紹介し、暑さを和らげる一服の物語をお届けします。
「碧く翠緑、香りは幽かにして鮮やか」螺旋状に巻かれた茶葉、銀白に翠を帯びた色合い。一口飲めば、花果の香りがふわりと広がり、暑さがふっと半減するような感覚に。
「高山の息、恬雅にして俗ならず」黄山の霧露に育まれた茶は、雀の舌のような形を持ち、清らかで深みある香りとともに、涼しさを体に染み渡らせます。
砂緑の茶葉に赤い斑点が映え、芳香は蘭のごとし。飲めば醇厚で、喉の奥に長い余韻が続きます。
「一度香りを聞き、二度味わい、三度湯を楽しむ」花の香りが濃く、金紅色の茶湯が目にも美しい。紫砂壺でゆっくりと淹れれば、体の奥から風が生まれるような心地に。
「葉は緑、芯は白。姿は牡丹のつぼみのよう」清らかで上品な香りと甘醇な味わいは、夏の暑さを和らげる最良の一杯です。
性質は穏やかで、爽やかさの中に優しい甘み。鉄壺で煮出せば、濃厚で深い味わいが広がり、暑さを癒やし、心身を鎮めます。
唐代の詩人・盧全はこう詠みました。
「一碗で喉が潤い、二碗で孤独がほどけ、三碗で心に残る古い思いが洗われる。四碗で軽く汗が滲み、悩みは毛穴から消えていく。五碗で肌が清くなり、六碗で心は仙境に通じ、七碗ともなれば、ただ涼風が両脇から吹き抜けるのみ。」
暑い夏、エアコンや冷たい飲み物も良いけれど、一杯の茶がもたらす「清涼」を、あなたも感じてみませんか。