雅文化学院
炎暑の夏、どこで涼を見つけられるのでしょうか。一杯の清らかな茶、そしてほのかな香り。それだけで、人間世界は美しい季節に変わります。
この日、鹿児島から遠路はるばるやってきた日本の学生さんがいました。病床の祖母を看病する日々の疲れの合間に、ほんのひととき、自分のための時間を大切に過ごしました。
繊細な指先で香袋を作り上げていく様子は、まるで時を紡ぐかのよう。やがて出来上がったのは、この世でただ一つの、夏の贈り物でした。
そして、教室の生徒さんたちも、思い思いに小さな作品を生み出していました。香りを調合する人、涼しげな茶器を選ぶ人、短冊に一言添える人……。それぞれの手から生まれたものは、日常にささやかな彩りを添えてくれます。
その瞬間、時はゆっくりと流れ、茶の香りに包まれながら、蝉の声すらも穏やかに響きます。「自分を大切にする」ということは、こうして時を優しく沈めることなのかもしれません。